統計学

温暖化問題に関する現時点での個人的見解〜インフレーションターゲット政策と関連して〜

以前から当blogをご覧の皆さんは矢野が「インフレーションターゲット政策(以下、インタゲ政策)」という政策を日本で採用すればいいと思っている、ということは御存じだと思います。この論争に加わって非常に強く感じたことは「人は、議論のテーマが自分の…

Yano, Wago, and Sato, (2008), "Multivariate stochastic volatility models with dynamic correlations: a Monte Carlo particle filtering approach"

事後報告になってしまいますが、6月19日から20日にかけてスイスのヌーシャテルで開催された2nd International Workshop on Computational and Financial Econometrics (CFE'08)でYano, Wago, and Satoによる"Multivariate stochastic volatility models with…

地球温暖化問題を学ぶリンク集

実は今週の講義で外部性を取り上げ、それと関連してピグー税や排出量取引市場の解説をしようと思っています。地球温暖化問題に関して矢野が知っているサイトへのリンクを作っておきたいと思います。[国立環境研究所]まず、国立環境研究所の「ココが知りたい…

論文の別刷りキターーーーーーーー

という訳で最終的には以下のようになりました。 Yano, K., (2008), "A self-organizing state space model and simplex initial distribution search," Computational Statistics, Volume 23, Number 2, April, pp. 197-216

頭が良いはずの人達がなぜ金融市場で失敗するのか〜確率とリスクのシミュレーション分析入門〜

さて、今週は所用により授業は休講なのですが、ここまで毎週火曜日に新しいネタを投入してきたので、以前、休みの時に「初心者向けに確率や統計の初歩的な話をしてくれないか」と依頼されて行った発表の資料を公開します。「頭が良いはずの人達がなぜ金融市…

Yano and Yoshino, "Japanese Monetary Policy Reaction Function and Time-Varying Structural Vector Autoregressions : A Monte Carlo Particle Filtering Approach"

In English:Our discussion paper (Yano and Yoshino, "Japanese Monetary Policy Reaction Function and Time-Varying Structural Vector Autoregressions : A Monte Carlo Particle Filtering Approach") appears on the website of the Financial Service…

並列計算が倒せない

「エアーマンが倒せない」という有名な曲があります。元々は2007年にある同人サークルがインターネット上で公開した同人音楽なんだそうです。エアーマンが倒せない(TEAMねこかんversion)http://www.youtube.com/watch?v=KLbFctG3tw0曲は「エア…

"a plan"

さて、5年前に全部で4つの論文を計画しました。当初の計画では4つの論文全部を書くのに3年しかかからないはず*1だったのですが、今でもまだ第3論文までしか到達していません。・・・無能ですみません_| ̄|○ 第1論文:非線形非ガウス非定常状態空間モデル…

"Japanese Monetary Policy Reaction Function and Time-Varying Structural Vector Autoregressions : A Monte Carlo Particle Filtering Approach"もしくは「長い冒険の旅の始まり」

さて、去年、いろいろなところで発表させていただいたTime-Varying Structural Vector Autoregressions論文ですが、職場のdiscussion paper版が公開になりましたので、もしご興味のある方は読んでいただけると幸いです。Yano, Koiti, and Naoyuki Yoshino, (…

まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか

[要約] ナシーム・ニコラス・タレブ「まぐれ―投資家はなぜ、運を実力と勘違いするのか」はランダム性を学ぶのに最適。啓蒙書を読むことはほとんどない人生。読むべきはおっさんどもではなくて高校生など若い人たち。規則の逸脱。20年前の田舎の高校生。偶然…

景気ウオッチャー調査のプロットスクリプト

上記の記事に用いたRのプログラムは以下の通り watch csv("keikiWatch.csv") sumTs watch$sum, start=c(2000,1), freq=12) houseTs watch$house, start=c(2000,1), freq=12) firmTs watch$firm, start=c(2000,1), freq=12) empTs watch$emp, start=c(2000,1)…

2006年のピークアウト〜景気ウォッチャー調査にみる「今そこにある危機」〜

[お断り] 当blogに書いてあることはすべて矢野の個人的見解です。 韓リフさんが景気ウォッチャー調査のことが取り上げられていたので、矢野も便乗して少し気になっていることを書きます。景気ウォッチャー調査のDI(「景気の現状判断(方向性)」)から(1)合…

線形回帰モデルの古典的仮定

,j;;;;;j,. ---一、 ` ―--‐、_ l;;;;;; {;;;;;;ゝ T辷iフ i f'辷jァ !i;;;;; 回帰分析なんてExcelで一発…… ヾ;;;ハ ノ .::!lリ;;r゙ そんなふうに考えていた時期が `Z;i 〈.,_..,. ノ;;;;;;;;> 俺にもありました ,;ぇハ、 、_,.ー-、_',. ,f゙: Y;;f ~''戈ヽ `二´ r'´…

今年の3冊+2ドラマ

さて、年末になりますと「今年のビジネス書ランキング10」なんて特集が組まれることが多いわけですが・・・残念ながらあまり読書家ではないので、そんなに多くの本を取り上げることはできません。まあ、論文は毎日大量に読むのですが、それをblogで取り上げ…

カルマンフィルター

あなたが一番好きなアルゴリズムを教えてください。 また、その理由やどんな点が好きなのかも教えてください。 - 人力検索はてなhttp://q.hatena.ne.jp/1195950564「あなたが一番好きなアルゴリズムは何か」という質問に半分ジョークで答えると、「自分が考…

Weise, T., (2007), Global Optimization Algorithms – Theory and Application

id:higotakayuki2さんやid:okamoto7先生辺りが気に入ってくれそうなonline bookを発見しましたのでちょっとご紹介します。T. Weise, (2007), Global Optimization Algorithms – Theory and Application, Online as e-book.なんと846ページもあります。さらに…

"Japanese Monetary Policy Reaction Function and Time-Varying Structural Vector Autoregressions: A Monte Carlo Particle Filtering Approach"

相変わらず「時変係数構造ベクトル自己回帰モデル」で申し訳ありませんが、Hitotsubashi Conference on Econometrics 2007で研究発表(矢野と吉野直行先生の共同研究)をさせていただけることになりました。内容は2007年日本金融学会秋季大会(同志社大学)…

Rで微分(シンボリック計算)

ほとんどのプログラム言語ではシンボリックな計算はできません。と言っても「シンボリックな計算って何?」と思う人のほうが多いかもしれませんが・・・。シンボリックな計算というのは「をで微分せよ」みたいな計算を言います。「え?そんなの簡単じゃない…

Rで構造VAR分析(structural vector autoregressions)

同時点相関がfull recursive(同時点相関の行列が下三角)な場合は以下の手順で推計する。 require(vars)data(Canada)var.2c amat amat[2,1] amat[3,1] amat[3,2] amat[4,1] amat[4,2] amat[4,3] (amatの対角成分は当然すべて1で、NAと指定した部分の数値が…

Rで変数名を半自動的に生成する方法

先週、あるところでプログラミングの話をしていて、「変数名を半自動的に生成して、それにデータを入れることはあるのか」と聞かれたので、ここに書いておきます(以下、GNU R限定して話を進めますが、他のプログラム言語でも同じことが可能なはずです(その…

比較的高速な復元抽出アルゴリズム (2)

かなり前の話題になってしまうので、今更って気もしないではないですが・・・・比較的高速な復元抽出アルゴリズムのフォローアップです。復元抽出のアルゴリズムであるWalker's alias methodのコードレビューをhigotakayuki2さんがしてくださいました。高速…

比較的高速な復元抽出アルゴリズム

現代の統計学では非復元抽出と復元抽出の高速処理が非常に重要です。例えば昨日のエントリーのbootstrap法などは現代統計学の最重要手法の一つですが、復元抽出が大きな役割を果たしますし、矢野が専門としているモンテカルロフィルター(粒子フィルター)で…

Rでbootstrap

Rでbootstrap推定をする場合の基本的な使い方:require(boot)boot(data, statistic=function(x,i)mean(x[i]), R=100, stype="i")この例は平均値を計算するという単純なもので、bootstrapを使う必要はないが、functionの部分を書き変えれば基本的にはどのよう…

出来事リスト

記憶力が悪いので自分用の覚書2007年2月28日:中国発世界同時株安2007年7月23日頃:サブプライム問題でDow下落2007年8月9日:BNPパリバがファンド凍結、ECBが950億ユーロ緊急供給以下、何かあったら追加予定

時変係数構造ベクトル自己回帰モデルの先行研究

先日、さる小さな研究会で矢野が研究している時変係数構造ベクトル自己回帰モデル(Time-Varying Structurel Vector Autoregressions)について話をさせていただいたところ、研究会の後に、「もしこの分野について勉強したい場合、何から始めればよいのか」と…

消費者物価指数の推移(2007年6月)

昨日の参院選の結果は非常に興味深いものでした。しかし、矢野にその結果が影響するとも思えないので、今後も淡々と統計屋としての仕事を進めたいと思います。さて、毎度毎度の話ですが、消費者物価指数の推移(前年同月比)をグラフにしてみました。はっき…

Bayesian Analysis of DSGE Models

マルコフ連鎖モンテカルロ法(MCMC)を用いたDGEモデル推計に関してはすでにいろいろ論文や書籍(たとえば、先日紹介したCanova (2007)など)が出ている訳ですが、決定版といえるようなサーベイ論文はこれかもしれません。An, S., and F. Schorfheide, (2007),…

GNU Rでよく使うパッケージ一覧(2010/10/22 update)

現在、矢野が比較的良く使うRのパッケージをリストアップしました。専門の時系列解析に偏っていて、他の方にはあまり参考にならないかもしれませんが・・・よく使うパッケージ一覧tseries: 時系列解析関連の基本パッケージ。ARMAやDicky-Fuller検定やBowman-…

"such that"

科学論文では数学的な表現のために"such that"を使うことはよくあると思いますよ。話のネタ元:http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50866933.html基本的にはこのエントリーのtさん、enaさん、tictacさん、結城さんご本人のコメント*1が正しいと思い…

上級マクロ経済計量分析の新標準教科書

ここ数年、時々、計量経済学の教科書を読むことがあるのですが*1、どの教科書も素晴らしいと思うと同時にごくまれに少し残念に感じることがあります。何が(少し)残念かと言うと、「ここ20年くらいの統計学の進歩を計量経済学の教科書がほとんど取り入れて…