ここ数年、時々、計量経済学の教科書を読むことがあるのですが*1、どの教科書も素晴らしいと思うと同時にごくまれに少し残念に感じることがあります。
何が(少し)残念かと言うと、「ここ20年くらいの統計学の進歩を計量経済学の教科書がほとんど取り入れていないように見える」ことです。
ここ20年間の統計学の進歩の中でも特にベイズ統計学(たとえばMCMC[マルコフ連鎖モンテカルロ法]や矢野が専門とするモンテカルロフィルター[粒子フィルター]など)の成果がもっと反映されれば、マクロ経済計量分析をする人たちにとっても道具の選択肢が増えていいのではないかと思います。
しかし、ついにその(小さな)不満を解消する教科書が登場したようなので、ご紹介したいと思います。
Canova, F., (2007), Methods for Applied Macroeconomic Research.
http://press.princeton.edu/titles/8434.html
(↑Chapter 2と11のサンプルPDFが見られます)
Methods for Applied Macroeconomic Research
- 作者: Fabio Canova
- 出版社/メーカー: Princeton Univ Pr
- 発売日: 2006/12/28
- メディア: ハードカバー
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内容は易しくないですし、値段も安い本ではありませんが、矢野はここ数年で買った洋書の中でこの本が一番満足度が高いです*2。
この教科書がマクロ経済計量分析の新しい標準(誰もが知っている基礎知識)になってくれればいいと思っています。
[補足 1] まさか間違う人はいないと思うのですが、念のために補足しておくと、このCanovaの教科書はある程度数学が出来る人向けのものです。数学が不得意な人はまずある程度までは数学を勉強してからの方がいいように思います。
[補足 2] ほぼ同じ領域を扱ったDeJong先生(not DeLong)の教科書も出ているようです。
DeJong, D. N. and C. Dave, (2007), Structural Macroeconometrics.
http://press.princeton.edu/titles/8436.html
(↑こちらもサンプルPDFあり)
- 作者: David N. Dejong,Chetan Dave
- 出版社/メーカー: Princeton Univ Pr
- 発売日: 2007/03/12
- メディア: ハードカバー
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