温暖化問題に関する現時点での個人的見解〜インフレーションターゲット政策と関連して〜

以前から当blogをご覧の皆さんは矢野が「インフレーションターゲット政策(以下、インタゲ政策)」という政策を日本で採用すればいいと思っている、ということは御存じだと思います。

この論争に加わって非常に強く感じたことは「人は、議論のテーマが自分の気に入らないと、すぐに感情的になる」ということです。

議論をする時に矢野が気を付けていることは以下に書いておきましたので、ご参照ください。
矢野が好ましいと思う生き方:ポール・レチェット
http://d.hatena.ne.jp/koiti_yano/20060208/p1

インタゲ政策論争において常に残念に感じることは、多くのインタゲ政策に反対する人たちの多くが「俺はインフレは嫌いだ!だからダメだ!」という感情的な議論しかしてくれないという点です。

「実証データに基づいて議論しましょう」とか「経済学や統計学の標準的な知見に基づいて議論しましょう」というような提案*1が受け入れられることはほとんどありません。

さて、地球温暖化問題に関してもやはり、同じようなことを感じることがあります。現時点での矢野の個人的見解を書いておきます。

  1. 人間の経済活動より排出される二酸化炭素を始めとした温室効果ガスの量は昔(100年前や200年前など)に比べると増えている(これはおそらく事実)
  2. 温室効果ガス排出量の増加により地球環境は温暖化している(これもおそらく事実。ただし、温暖化の原因が温室効果ガスだけなのかについては今後も若干の議論が必要)
  3. 温室効果ガス排出量の増加により将来、地球環境は温暖化していく可能性が高い(ただし、どの程度温暖化するかについては気象モデルと条件等により異なる)
  4. 将来の温暖化を防ぐために、現時点でどの程度の費用をかけるべきかについては社会的割引率の適切な決め方などを含めて今後も議論を続けるべき問題である

*1:専門家相手の場合、「動学的確率的一般均衡モデルに基づいて議論しましょう」。