マクロ経済学

畑農鋭矢、(2009)、「財政赤字と財政運営の経済分析」書評(第3回)〜カルマンフィルターを用いた日本における先行研究〜

畑農先生の「財政赤字と財政運営の経済分析」が素晴らしいという話を書こうと思ったら、いつの間にか「フィルタリングアルゴリズムとその応用の歴史」を書くはめに陥ってしまった(「ミイラ取りがミイラ」みたいな(?))書評シリーズですが、第1回と第2回に続…

畑農鋭矢、(2009)、「財政赤字と財政運営の経済分析」書評(第2回)〜「ルドルフ・カルマンよ。あれ。」と神は言った〜

第1回に続き、畑農鋭矢、(2009)、「財政赤字と財政運営の経済分析」書評の第2回です。財政赤字と財政運営の経済分析―持続可能性と国民負担の視点作者: 畑農鋭矢出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2009/09/01メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 120回この商品…

畑農鋭矢、(2009)、「財政赤字と財政運営の経済分析」書評(第1回)〜神は人類にノーバート・ウィーナーを与えたもう〜

[要約]連続型世代重複モデルに流動性制約下の家計を加えたモデルの構造パラメーターをカルマンフィルターで時変推定するという極めて先駆的な研究手法を用いて、流動性制約下の家計の比率を推定するとともに、様々な視点から日本における財政維持可能性や財…

DSGEモデルとベイズ統計学の課題点

滝川クリステルさんがNews Japanを降板するというので、一瞬「もうだめぽ」状態になった矢野です。・・・えーっとまあ、それはともかくとしまして・・・[DSGEモデルとベイズ統計学の課題点]現在ではベイズ統計学を用いてDSGEモデルを推定することは非常に当…

Kocherlakota, (2009), "Some Thoughts on the State of Macro"

あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!Mankiw blogで紹介されたKocherlakota, (2009), "Some Thoughts on the State of Macro"を読んで大筋で同意見なので、「誰か訳してくれないかなぁ」と思ったら、すでにhimaginary氏によって訳されていた(抄訳ですが)…

後期講義はマクロ経済学

今年も後期講義はマクロ経済学を中心に据える予定です(これまでの講義録はこちら)。今年は「マンキュー入門経済学」を基本に講義を進めています。内容は「マンキュー経済学」から内容をピックアップしたもので、もちろん「マンキュー入門経済学」は「マン…

金子洋一さんが参議院神奈川補選候補に

当blogでは意識して政治の話は取り上げないようにしてきました。が、まあ、たまには例外も。衆院選以降、マクロ経済政策に関しては何もいいニュースがなかったのですが、やっと一つだけいいニュースが届きました。参議院神奈川補選の公募に合格しました (金…

新ケインズ派DSGEからみた経済政策に関する教訓

いや、誰も矢野の意見など聞いてないことは知ってるんですがwEuropean Economic Associationなどに参加させていただいて、DSGEとベイズ統計学の最新情報を仕入れてきたのですが、今のところ、矢野の理解する「新ケインズ派DSGEからみた経済政策に関する教訓…

研究集会「複雑系現象の時系列解析1」7/27-28

7月28日に研究発表させていただく研究集会の案内ページをお知らせします。非線形時系列に対する現象数理学の発展シンポジウム(明治大学グローバルCOEプログラム 現象数理学の形成と発展) 7月27日 10:00−11:30 バドルル アーサン (東京大学大学院,日本学…

Hodrick-Prescottフィルターをかける前の変数変換

なぜか「日本の実質GDP(季節調整済み)にHodrick-Prescottフィルターをかけて潜在GDPとGDPギャップを出したいのだが、そのままの値にかけるのか、対数変換した値にかけるのか、成長率にかけるのか」と聞かれました。矢野「えーっとそもそも矢野はその方法に…

サムナーのFAQ from himaginaryの日記

素晴らしい内容なので、多くの方にお勧めします(himaginaryさんいつもありがとうございます)。サムナーのFAQ - himaginaryの日記 http://d.hatena.ne.jp/himaginary/20090714/sumner_faq以下の部分は何回読んでも笑ってしまいます。 金融オタクは1世紀に2…

「DSGEモデルの二次(もしくはより高次の)近似」に関する論文まとめ

(お断り:この記事は基本的には矢野の個人的覚書です)近年、DSGEモデルの二次近似(場合によっては三次以上の近似)がごく当たり前に使われるようになってきましたが、それらの計算アルゴリズムは正直に言ってどれも煩雑でうんざりすることが少なくありま…

日本経済を対象とした推計DSGEモデルにおける財政政策:非リカーディアン家計で全て説明できるか?

職場のdiscussion paperとして以下の論文が公表になりましたので、ご紹介します。岩田安晴「日本経済を対象とした推計DSGEモデルにおける財政政策:非リカーディアン家計で全て説明できるか?」ESRI,ESRI Discussion Paper No.216 矢野が以前書いた「DYN…

2009 Far East and South Asia Meeting of the Econometric Society

8月3日から5日にかけて東大で開催されるEconometric Society Meetingで8月3日に"Dynamic Stochastic General Equilibrium Models In a Liquidity Trap and Self-organizing State Space Modeling"の発表をさせていただけることになりました。ベイズ統計学の…

クルーグマン論説の翻訳+岩田・若田部論説のecon2009さんによる解説

自分用の覚書:optical_frogさんが訳してくださったので、ご紹介します(遅くなってすみません)。クルーグマン「インフレなんて怖くない」 - left over junk http://d.hatena.ne.jp/optical_frog/20090530/p1ポール・クルーグマン教授に聞く 「GM問題、米金…

与謝野大臣とクルーグマン教授の対談(Kittens flewby meさんによるまとめ)

新報道2001 与謝野大臣とクルーグマン教授の対談(Kittens flewby meさんによるまとめ) http://ahodory.blog124.fc2.com/blog-entry-245.htmlKittens flewby meさん、ありがとうございます。

経済学で不況が一挙に解決する

なんてことは、リフレ派の誰も言っていないですよ。

米経済、インフレ待望論 賃金上昇で消費拡大

マンキュー教授とロゴフ教授が登場するこちらの記事もご参考まで*1。 Bloomberg/米経済、インフレ待望論 賃金上昇で消費拡大 - FujiSankei Business i./Bloomberg GLOBAL FINANCE http://www.business-i.jp/news/bb-page/news/200905220016a.nwc[関連エン…

ミシュキン「インフレターゲットのススメ」

Hicksianさんのエントリー経由*1 [追記]hicksianさんが後半を訳してくれました。皆様ぜひそちらもご覧ください*2。[金融危機]インタゲのすすめ+αhttp://d.hatena.ne.jp/Hicksian/20090525#p1今年1月にフレデリック・ミシュキン教授がFinancial Timesに書い…

米国のデフレ:「2つの悪」の悪い方

http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/1011非常に良い記事だと思います。

ゼロ金利下での金融政策の効果〜深尾光洋の金融経済を読み解く〜

ゼロ金利下での金融政策の効果〜日本経済研究センター JCER 深尾光洋の金融経済を読み解く〜 http://www.jcer.or.jp/column/fukao/index137.html深尾先生のこの記事は非常に標準的な(そして真っ当な)ご意見だと思います。

ノーベル賞学者が謝罪? クルーグマン教授、米国は日本以下だと自嘲

ノーベル賞学者が謝罪?ノーベル賞学者が謝罪?:クルーグマン教授、米国は日本以下だと自嘲〜日経ビジネスオンライン〜 http://business.nikkeibp.co.jp/article/topics/20090430/193515/クルーグマン教授の先日の発言をレトリックと理解しない人が多くて、…

「Dynare + octave」でMCMC推定は可能

以前、「Dynare + octave」の組み合わせではMCMC推定ができない、と言った趣旨のことを述べましたが、データ(実際のマクロ経済データ)をMatlabのmatファイル形式で保存するとMCMC推定が可能なことが分かりました(間違ったことを書いて申し訳ありませんで…

『世界同時不況』を書いた岩田規久男氏に聞く

『世界同時不況』を書いた岩田規久男氏に聞く http://www.toyokeizai.net/life/review/detail/AC/168407dcacd891023166ff1ddc1a8b9d/via 韓リフ先生

米国で深まるリフレ政策論争〜マンキュー教授の「マイナス金利政策」提言への解説〜

[お断り]当blogに書かれた内容はすべて矢野個人の意見であり、矢野が所属するいかなる組織とも関係ありません。NY Timesにマンキュー教授が「マイナス金利」政策について論じた記事が出ました。Economic View - It May Be Time for the Fed to Go Negative -…

DynareによるMCMCマニュアルは必要ですか?

「世の中にはレトリックってものがあるんだけど、世間の人は知らないのか?」と思ってちょっとびっくりしている矢野です。・・・・・・おはようございます。さて、昨年末にDYNARE による動学的確率的一般均衡シミュレーションというマニュアルを公開したので…

世界大不況からの脱出:ブレないクルーグマン

クルーグマン教授の近著「世界大不況からの脱出」(1999年に出版された「世界大不況への警告」の改訂版)を買いました。世界大不況からの脱出-なぜ恐慌型経済は広がったのか作者: ポール・クルーグマン,Paul Krugman,三上義一出版社/メーカー: 早川書房発売…

クルーグマン:4%のインフレターゲットを設定せよ

VOICE 5月号のクルーグマン教授へのインタビュー「日本経済・再浮上への三大戦略」は非常に素晴らしい記事です。[4%のインフレターゲットを設定せよ]そのインタビューでクルーグマン教授は 日本は継続的に、マイナスの実質金利をとる必要があります。それ…

Stachurski, (2009), Economic Dynamics: Theory and Computation

[お断り]今はまだ100ページほどしか読み進めていないので、この本の書評をいつ書くべきかと思ったのですが、いろいろ忙しくて最後まで読みとおすのがいつになるのか分からないので、100ページほど読んであとはざっと目を通したところで書評を書くことにしま…

クリスティーナ・ローマー:大恐慌からの教訓 - P.E.S.

韓リフ先生のところ経由クリスティーナ・ローマー:大恐慌からの教訓 - P.E.S. http://d.hatena.ne.jp/okemos/20090311/1236779735okemosさんありがとう!