Stachurski, (2009), Economic Dynamics: Theory and Computation

[お断り]
今はまだ100ページほどしか読み進めていないので、この本の書評をいつ書くべきかと思ったのですが、いろいろ忙しくて最後まで読みとおすのがいつになるのか分からないので、100ページほど読んであとはざっと目を通したところで書評を書くことにしました(そのため、後日、以下の印象が変化する可能性があります)。

[要約]
Stachurski (2009)は素晴らしい!Canova (2007)をお勧めして以来、久しぶりの教科書のお勧めです。

[Stachurski (2009)]
この分野の教科書としては有名なStokey and LucasAdda and Cooperがあるわけですが・・・・Stokey and Lucasって難しくないですか?・・・え?「おめーの頭が悪いだけじゃん」ですかそうですか・・・まあ、それはおっしゃるとおりですけど・・・

マクロ経済学の理論家になる人がStokey and Lucasを読むのは必須なのだと思いますが、僕のような統計屋にはそこまでの精緻さは必要ない(というかそれだけの能力がない)ので、いつも「Adda and CooperとStokey and Lucasの中間くらいの難しさの本があればいいのになぁ」と思っていました。

Stachurski (2009)はそういう矢野みたいなダメな奴にも読めるように書かれた素晴らしい教科書だと思います。この本の特徴は以下の二つです。

  1. Markov Chain, Dynamic Programming (DP), 確率入門などのDynamic Economicsに必要な最低限の知識が「そこそこの厳密さ」で学ぶことができる(Adda and Cooperよりは厳密で、Stokey and Lucasよりは簡単)
  2. Pythonのプログラム例で「DPを実際にプログラムに実装するにはどうすればいいのか」が理解できる(ちゃんとPython入門もついている((もちろん言うまでもなくこれだけでPythonの全てが分かるわけではなくて、本文の理解を深めるに役立つ範囲に限られています。)))

(注:以下の著者のページにはMatlabでのコード例も掲載されています)

その他にも各所に読者への配慮を感じることができる教科書です。Blog業界で年末恒例の「今年の○冊」に入れるに値する(というよりも現時点ではNo. 1候補)と思います。

著者(John Stachurski先生)のサポートページ
http://johnstachurski.net/book/book.html

Economic Dynamics: Theory and Computation (The MIT Press)

Economic Dynamics: Theory and Computation (The MIT Press)