「動学的確率的一般均衡モデルとベイズ統計学」公開

以前からコツコツと書いてきた「動学的確率的一般均衡モデルとベイズ統計学」の草稿を「マクロ計量経済学」の講義サイトにアップロードしました。まだ足りない点の多い草稿ですが、ご興味のある方はご笑覧ください。

マクロ計量経済学講義サイト
http://sites.google.com/site/macroeconometrics2011/

「動学的確率的一般均衡モデルとベイズ統計学」について何かご感想・ご要望がありましたら、お気軽にお寄せください。ただ、非常に忙しいので、お返事を差し上げられるか&ご期待に沿えるかどうかについては矢野も自信がありませんが・・・

ここまでの原稿作成にご助力いただいた皆様に御礼を申し上げます。

[「動学的確率的一般均衡モデルとベイズ統計学」作成の背景]
今朝は少しだけ時間があるので、「動学的確率的一般均衡モデルとベイズ統計学」草稿作成の背景を。

草稿の中ではカルマンフィルターとマルコフ連鎖モンテカルロ法を使ったDSGEモデルの推定方法について解説しています。

元々は2009年夏にスペインで開催された欧州経済学会に参加したときのことです。初日にある高名な先生にお会いして、「矢野君、最近は何を研究しているの?」と言われたので、「ベイズ統計学(粒子フィルター)を使ったDSGE推定をやってます」とお答えしました。その時、その先生の反応は「マニアックな研究をしているね。そんな研究している人いるの?」という感じでした。

しかし、最終日にもまたお会いする機会があって、その時、開口一番「矢野君、ヨーロッパのマクロ研究はみんなDSGEとベイズだね!」と言わました。実際、さすがに100%とはいかないものの、その年の欧州経済学会でのマクロ経済学の発表はDSGEとベイズ統計学を用いたものがそれなりに多かったです(Econometric Societyと共催だからかもしれません)。

そのような現状を踏まえて、誰でもが「DSGEとベイズ」を使いこなせるような解説を書こうと思いつきました。矢野は元々は基礎工学部という変わった名前の学部(と修士)を出ており、学部時代にカルマンフィルターやマルコフ連鎖モンテカルロ法を学んだことがあったので、その知識をLaTeXに書きだすのは、あまり手間もかからないだろうと思いました。

そのため、スペインから帰ってきてすぐに原稿の作成をはじめ、2009年11月までに第1稿(現在の第2稿の80%位の分量)を仕上げました。誤算だったのは、2009年秋に現在の職場に就職が決まり、その後が非常に忙しくなってしまった点です。そのため、2010年は草稿を改訂する時間が全く取れず、ここ一週間にやっと時間が取れたので、少しだけ手直しをして本日の公開にこぎつけました。

いずれにしても、この草稿がDSGEとベイズ統計学について興味のある方に少しでもご参考になれば幸いです。

なお、この草稿は2008年に公開した「DYNARE による動学的確率的一般均衡シミュレーション」と対になっていますので、まだご覧になったことのない方はこちらもご笑覧ください。