畑農鋭矢、(2009)、「財政赤字と財政運営の経済分析」書評(最終回)〜あとがき、覚え書き、文献書き〜

さて、これでこの書評だか何だか書いた本人も分からないシリーズは終了です。最後に少しだけ補足をして終わりたいと思います。

[なんでこんなの書いたの?]
ちょっと意外に思われるかもしれないのですが、実は第4回「財政赤字と財政運営の経済分析」(本来の意味での書評はこの部分だけ)が一番最初に書かれました。

今年の9月上旬に畑農先生から献本をいただき、すぐに「矢野のblogで紹介させていただきます」とメールをお送りしてから直ちに第4回を書き始めたのですが、それをほぼ書き終わると、今度は「でも、小川一夫先生や谷崎久志先生の先駆的業績にも言及しないと」と思い始め、第3回をほぼ書き終わると「いやいや、カルマンの話もしないと」、その後「そもそものウィーナーを」という感じで結局こんなシリーズになってしまいました(つまりは書かれた順番と掲載された順番はまったく逆です)。

欧米のマクロ経済学では「カルマンフィルターを用いた研究」というのは少なくない(欧米の標準的マクロ経済学教科書であるLjungqvist and Sargent, (2003), Recursive Macroeconomic Theory)でもカルマンフィルターはちゃんと取り上げられている)にも関わらず、日本ではあまり活用されていないことを以前から残念に思っていたので、結局こんなものを書いてしまいました。

で、第1回と第2回のサブタイトルが変なのは、それらを書いていた時の矢野の気持ちが以下のAAそっくりだったからです。

   *'``・* 。
    |     `*。   
   ,。∩∧_,,∧   *    もーどうにでもな〜れ〜
  + (´・ω・`) *。+゚
  `*。 ヽ、  つ *゚*
   `・+。*・' ゚⊃ +゚
   ☆   ∪~ 。*゚
    `・+。*・ ゚

なので、もしお時間のある方は第4回から第3回、第2回、第1回と逆に読んでいただけると、だんだんと矢野が開き直って行く過程を見ることができます。

・・・・そんな暇な人いませんですかそうですか。

このテーマには他にも「時変係数って合理的期待形成と整合的なの?」とか言うべきことはまだまだありますが、正直に言ってキリがないので、その点についてはまた機会のあったときにさせていただきたいと思います。

さて、最後にシリーズで参照した参考文献をまとめておきます。こんな訳の分からないものに長々とおつき合いいただきありがとうございました。
[参考文献]
Blanchard, Olivier J, (1985), "Debt, Deficits, and Finite Horizons," Journal of Political Economy, University of Chicago Press, vol. 93(2), pages 223-47, April.

Kalman, R.E., (1960), "A new approach to linear filtering and prediction problems,". Journal of Basic Engineering 82 (1):

Jesus Fernandez-Villaverde & Juan Rubio-ram, (2007), "How Structural Are Structural Parameters?," NBER Chapters,in: NBER Macroeconomics Annual 2007, Volume 22, pages 83-137 National Bureau of Economic Research, Inc.

畑農鋭矢、(2004)、「財政赤字のマクロ経済効果−カルマン・フィルタによる中立命題の検証−」『フィナンシャル・レビュー』第74号
http://www.mof.go.jp/f-review/r74/r_74_065_091.pdf

G. Kitagawa and W. Gersch, (1984), "A smoothness priors-state space approach to the modeling of time series with trend and seasonality", J. Amer. Statist. Assoc., 79, 378-389.

G. Kitagawa and W. Gersch, (1985), "A smoothness priors-time varying AR coefficient modeling of nonstationary covariance time series," IEEE Trans. Automat. Contr., 30, 48-56.

McGee and Schmidt, (1985), "Discovery of the Kalman Filter as a Practical Tool for Aerospace and Industry," NASA-TM-86847.
http://ntrs.nasa.gov/archive/nasa/casi.ntrs.nasa.gov/19860003843_1986003843.pdf

Ogawa, Kazuo, (1990), "Cyclical variations in liquidity-constrained consumers: Evidence from macro data in Japan," Journal of the Japanese and International Economies, Elsevier, vol. 4(2), pages 173-193, June.

谷崎久志、(1993)、『状態空間モデルの経済学への応用 ― 可変パラメータ・モデルによる日米マクロ計量モデルの推定 ―』神戸学院大学経済学研究叢書9、日本評論社.
http://ht.econ.kobe-u.ac.jp/~tanizaki/cv/books/ssm/ssm.pdf

Tesfatsion, L., (2009), "Introduction to Rational Expectations," Lecture Note.
http://www.econ.iastate.edu/tesfatsi/reintro.pdf

N. Wienner, (1961), Cybernetics: Or Control and Communication in the Animal and the Machine. 2nd ed., MIT Press.(ノーバート・ウィーナー、(1962)、「サイバネティクス<第2版>」岩波書店

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