ドクターヤノーによろしく

えーっと私事になりますが(と言ってもこのblogは私事と小ネタばかりですが)、昨日23日に総合研究大学院大学の博士課程を修了し、同時に学長の小平桂一先生から博士号(統計科学)を授与されました(英語表記ではPh.D (Statistical Science))。科学業界(?)では博士号(Ph.D)を持っていることが科学者コミュニティに入る最低条件なので、やっと最低限の条件だけは満たしたことになります。

しかし、ほとんどの人にとっては「ソウゴウケンキュウダイガクインダイガクって何?食えるの?」だと思いますので、正直に言って愛校心には薄い矢野ですが、感謝の意を込めて昨日卒業した大学院大学について少し書きたいと思います。

わが国には長らく文部省(現在の文部科学省)の下に国立の研究所が多く存在してわが国の基礎研究を担ってきました。たとえば、有名なところで言うと「国立天文台」や「国立極地研究所」(南極や北極の研究をする機関)などがあります。以下のリストを見ていただくと分かりますが、いろいろな研究所があります(国立民族学博物館メディア教育開発センター分子科学研究所国立情報学研究所など、一般の方にはほとんどなじみのないものばかりだと思いますが)。

総合研究大学院大学各専攻と研究機関一覧
http://www.soken.ac.jp/rcourse/

それらの研究所で研究者を養成するための博士課程(後期)を運営するための組織が総合研究大学院大学総研大)になります。・・・と言っても何のことやら分かりませんよね・・・

比較的分かりやすそうな例を挙げると「南極研究をしたい」という学生がいるとして、その学生を学ぶのに一番よい環境は言うまでもなく極地研です(極地研は南極観測について計画を立案・実施する中核機関でもある)。しかし、研究所というのは本来は教育機関ではないので、学生は形式的には総研大に在学しておいて、実際にはそれぞれの研究所で一線の研究者の下で教育を受けることになります。

矢野の場合は、統計数理研究所がその場所に当たります。

統計数理研究所昭和19年(1944年)に勅令第385号*1によって設立された統計学(統計科学)や確率論、その関係領域について研究する機関です。

統数研で有名な研究者として赤池情報量規準で知られる赤池弘次先生(現・統計数理研究所名誉教授)がおられます。

理由はよく分かりませんが、とにかく不幸なことにわが国には統計学(統計科学)を教育する博士課程(後期)が他には存在しないので、統計学(統計科学)で博士号が欲しかったら統計数理研究所総研大統計科学専攻)に入るしかありません。

まあ、そんな訳で心理歴史学を目指す矢野は4年前に総研大統計科学専攻に入学し、昨日やっと修了したわけです。

長くなってしまったので、とりあえず今日はこの辺で。

[余談1] ちなみに「総合研究大学院大学の博士課程に在学しています」と言うと、よく「知ってますよ。六本木にありますよね」とよく言われたものです。それは「政策研究大学院大学」です。普通の人にはどうでもいい話だと思いますが。

[余談2]学長の小平桂一先生って言ってもふつーの人はご存じないと思いますが、ハワイにある「すばる望遠鏡」を作ったことでも有名な偉大な天文学者です(残念ながら3回しか会ったことがありませんが)。でも、世間では「小平アネット桂子のお父さん」の方が通りがいいかもしれません。

[余談3] 当初の予定では去年度に修了するつもりだったのですが、渾身の論文wが国際ジャーナルに三回立て続けにリジェクとされてしまったので、修了が予定より1年遅れてしまいました。結局、まったく別の発想の論文を新しく書いてそれが国際ジャーナルに載ったので、今回、無事に課程修了&博士号授与となりました。

*1:当時はまだ大日本帝国なので。歴史を感じますね。