初期分布探索付き自己組織化状態空間モデルによる金融時系列解析の最前線:t分布付き確率的ボラティリティ変動モデルへの応用

タイトルが長い・・・_| ̄|○

えーっと、現在の矢野の職場では一年に一度、「年報」というものを出すことになっています。その年報「FSAリサーチレビュー」のweb版が公開になったので、矢野の論文へのリンクを張っておきます。

矢野浩一・佐藤整尚、(2007)、「初期分布探索付き自己組織化状態空間モデルによる金融時系列解析の最前線:t分布付き確率的ボラティリティ変動モデルへの応用」、FSAリサーチレビュー(2006年度版)
http://www.fsa.go.jp/frtc/nenpou/2006a/05.pdf

この論文は先日ご紹介した"A self-organizing state space model and simplex initial distribution search"の内容をこの分野にも詳しくない読者向けに新たに書き直したものに新しい実証分析を組み合わせたものです。

内容はモンテカルロフィルター(粒子フィルター)と自己組織化状態空間モデルの紹介からはじめ、矢野が提案したsimplex initial distribution searchを解説し、それをStochastic Volatility models(確率的ボラティリティモデル)のパラメーター推定に応用したものです*1

実は矢野が提案した方式はほとんどの人にとってなじみの薄い分野にあるので、「何に使えるの?」と聞かれることが多いです。その疑問に応えるために書いたのがこの論文で、ファイナンスの実証分析で用いられることが多いSVモデルなら他の研究者にも親しみやすいかと思って例として挙げてみました。

なお、読んでいただけば分かりますが、別にSVモデルに限定しなくても他にもいろいろ応用例が考えられます。いくつかの応用例は現在、執筆中ですので、時期が来たらご紹介したいと思っています。

それとモンテカルロフィルター(粒子フィルター)や矢野の研究に興味がある方は気軽に声をかけてください。
分野がマニアックすぎていませんかそうですか_| ̄|○

[参考] FSAリサーチレビューには他にも様々な分野の興味深い論文が掲載されていますので、お時間がある方は以下のURLからご参照いただければ幸いです。
http://www.fsa.go.jp/frtc/nenpou/2006a.html

*1:この論文はモンテカルロフィルター(粒子フィルター)の簡潔な入門にもなっていると思います(しかし、サーベイではありません)