岩田規久男「小さな政府」を問いなおす(asin:448006320X)

[感想]
1. 題名だけを見ると近年の小泉構造改革にターゲットを絞った内容に見えるかもしれませんが、実際には20世紀初頭に始まった大きな政府の流れからはじまり、20世紀後半に小さな政府へ転換していく経緯を岩田流にまとめたものです(一時的な時事論評のために書かれ本ではないという印象を受けました)。
2. 前半のかなりの部分が英国が「大きな政府」から「小さな政府」に転換していく経緯を(ミルトン・フリードマンの主張や「機会の平等・結果の平等」などの概念を紹介しながら)詳しく解説していて、とても勉強になります。また、後半の日本における第二臨調から小泉政権に続く「構造改革」についてまとまっていて、頭の整理になりました*1
3. 今まで経済を政府の「大きさ」を題材に書いたものを読んだことがなかったので、いろいろと学ぶことが多いです。
4. 小泉政権5年の終わりに読んでみてはいかがでしょうか?

[補足]しかし、結局、「政府が大きい」か「小さい」かの客観的基準は分からなかった。多くの人が気軽に「小さな政府」と言いますが、何と比べて「小さい」のか知っている人がいたら教えてください。

*1:最近話題の格差問題も最後に取り上げられています。