McGee and Schmidt, (1985), "Discovery of the Kalman Filter"

上のエントリー「『ルドルフ・カルマンよ。あれ。』と神は言った」でシュミットとカルマンの出会いをまるで見てきたかのように書きました。実はこの辺りの経緯が"Discovery of the Kalman Filter as a Practical Tool for Aerospace and Industry"(カルマンフィルターの発見〜航空宇宙産業と工業のための実用的なツール〜)という論文でシュミット本人によって活写されています(たとえば「ウィーナーフィルターによる研究が進んでいた」、「カルマンはなぜ自分のような若手研究者がNASAに呼ばれたのか分か」らなかったとか「IBM 704を使っていた」などの記述はこの論文を根拠にしています)。

この論文は、シュミットが関わったアポロ計画に関する話から、なぜカルマンフィルターが必要だったのか、それをどのようにアポロ計画に応用したかなど貴重な歴史的証言になっていますので、この分野に興味のある方は一読の価値があると思います(少なくとも矢野は非常に楽しく読みました。こんなに楽しい読み物は滅多にありません)。

現在ではその論文(正確にはシュミットによる回顧録)はNASAのサイトからダウンロードできます。
McGee and Schmidt, (1985), "Discovery of the Kalman Filter as a Practical Tool for Aerospace and Industry," NASA-TM-86847.
http://ntrs.nasa.gov/archive/nasa/casi.ntrs.nasa.gov/19860003843_1986003843.pdf (大容量PDFなので注意)