通貨発行益とは何か

さて、現在、今週の講義の「貨幣と金融システム」のスライドの補足と来週の講義の「金融政策」のスライドを作っているのですが、「通貨発行益を教えるべきかどうか」について悩んでいます。とは言っても教えなくても金融政策について講義するには差し支えないので、今のところ「教えない」方向で考えているのですが・・・

一応、分かりやすい解説としては
通貨発行益とは何か〜深尾光洋の金融経済を読み解く〜
http://www.jcer.or.jp/column/fukao/index47.html

ただし、「一万円札の発行は日銀のバランスシートでは負債に当たるので、通貨発行益は国債などを買った時の利子収入等だけだ」という議論には矢野はあまり納得していません。というのは、たとえば誰かが「よし、一万円は俺にとっては資産で、日銀にとっては負債なんだろ」と言って、日銀に「お前らの負債なんだから、金を返せよ」と怒鳴りこんでも、結局は「新しい一万円とお取り換えします」と言われて、新しい一万円札と取り替えてくれるだけなので、通常の企業のバランスシートの負債とは意味が全く異なると思うからです。

個人的にはbewaadさんの意見が一番納得がいきます。
[economy][BOJ]「通貨発行益(シニョリッジ)をめぐる勘違い」の勘違い
http://bewaad.sakura.ne.jp/index.rb?date=20050513#p01

[参考] 国庫納付金とは何ですか?:日本銀行
http://www.boj.or.jp/oshiete/outline/01401008.htm

まあ、この議論は3年以上前に本石町日記さんを中心に激しい議論が行われて、結局、平行線を辿ったので、もう一度同じ議論を繰り返すのは気が進みません。ご興味のある方はリンクを辿ってご覧になることをお勧めします。
本石町日記 : 通貨発行益(シニョリッジ)をめぐる勘違い
http://hongokucho.exblog.jp/2635830/