ギャンブラーの誤り (1)

ある俳優(以前「不倫は文化だ」と言ったと報道されたことがあるが、今は具体名は必要ない)がある雑誌のインタビューで以下のように答えたらしい。

今まで(女性の)20人に声をかけてひとり成功する確率だったとします。10人失敗が続けば普通落ち込むけど、オレは「後は10人にひとりの確率だな」と思う。18人失敗すれば、「次はほとんどいただきだ」って(笑)
http://blog.livedoor.jp/spacenet/archives/21926060.html

確率・統計の観点から言うとちょっと間違っている。

というのは、たとえば19人に声をかけて失敗したからといって20人目が絶対確実なわけではないからだ。声をかけて成功する確率が20分の1であるなら、20人目も(19人連続で失敗した後でも)変わらずに確率は20分の1である。

具体的に状況を書いてみると
1. 最初の女性の声をかける:成功する確率は20分の1
2. 失敗したので、次の女性に声をかける:成功する確率は20分の1
3. また失敗したので、その次の女性に声をかける:成功する確率は20分の1
4. またまた失敗したので(以下同文)

つまり何人もの女性に声をかけて失敗する度に声をかけて成功する確率が上がるわけではなくて成功する確率はいつでも20分の1だ。

実はこの種の間違いは古くから知られており、「ギャンブラーの誤り」という名前がついている。

たとえば、カジノでルーレットをやっていて、赤が何度も続いた後、「赤が何度も続いたから次は絶対に黒だ」といっている人を見かけたら・・・その人はギャンブラーの誤りに陥っている。ルーレットが公平であるならば、赤が何度も続いた後でも次に黒が出る確率は2分の1なのである。

[次回、間違いがあるに関わらずその俳優の戦略は「効果」があることを論じる]