ハリ・セルダンになりたくて 第1部 こぼれ話 (1)

第1部のこぼれ話(というかヨタ話)を3回に分けてお送りします。

不況を待望する業種

2005年、いろいろな所で僕は自分の研究の話をした。どこでも好評というわけではなかった。というのはどこの馬の骨とも知れない人間の開発途上の研究で、しかも結論が「2006年に入ると景気が悪くなります」では好評なわけがない。

しかし、2005年の半ば、ある所でいつものように研究結果の話をした時にやけにうれしそうな人に出会った。その人は何度も僕に質問し、「いつ不況が始まるのか」を何度も確認して帰った。

変わった人もいるもんだなと思った。しかし、本人に理由を聞くのも面倒だったので、会合が終わってから知り合いにちょっと言った。「やけにうれしそうな人がいましたね。」知り合いはちょっと笑って言った。「○○さんでしょ?あの人は景気が悪い方がうれしいから。」

聞いてみると、僕にうれしそうに質問した人は不良債権となった企業を買い取って再建するファンド、いわゆる企業再建ファンド*1の人だった。景気が悪い時の方が、不良債権となる企業が多く出て、仕事が増えるので企業再建ファンドにはうれしいらしい。

世の中にはいろんな仕事をしている人がいるな。そう思った。

*1:ハゲタカファンドと揶揄されることもある