AならばBの謎

おれカネ先生のエントリーを見て、ちょっと面白い話を思い出したので、書いておきます(おれカネ先生はさすがによく分かっておられるようです)。

「AならばB」という命題があったときに、
(1) Aが真で、Bが真なら命題は真: 「A(真)ならばB(真)」は真
(2) Aが真で、Bが偽なら命題は偽: 「A(真)ならばB(偽)」は偽
(3) Aが偽で、Bが偽なら命題は真: 「A(偽)ならばB(偽)」は真
(4) Aが偽で、Bが真なら命題は真: 「A(偽)ならばB(真)」は真
問題は(4)の場合ところをはじめてみた時には「え?この命題って偽じゃないの?」という気がしてしまうという点にあります(はじめてこの話を知った人はちょっと考えてみてください)。

ちなみに僕自身も学生時代に「(4)の命題が真」というのがどうしても理解できず、無理矢理に覚えた記憶があります。

さて、僕がまだサラリーマンをしていた頃、本屋のなかをうろついていると野矢茂樹先生の「論理学」という本が目に留まりました(僕の苗字の矢野の逆だったので)。その本の中にこんな面白い説明がありました(以下、野矢茂樹著「論理学」[東京大学出版] pp. 21より)。

あるお父さんが「明日晴れたら、動物園に連れて行くよ」と子供たちに約束した。
(1) 晴れたので、子供たちを動物園に連れて行く。これは普通のお父さんで、明らかに命題は真。
(2) 晴れたのに、子供たちを連れて行かなかった。これはうそつきなお父さんで、明らかに命題は偽。
(3) 次の日、どしゃ降りだったので、子供たちと家にいた。これも普通のお父さんで命題は真。
(4) 問題なのは次の日、どしゃ降りだったのに子供たちを動物園に連れて行ったお父さん。子供たちはブーブー文句を言うかもしれないけれど、お父さんは言うだろう。「晴れたら、動物園に連れて行くとは言った。しかし、雨が降ったら動物園に連れて行かないとは言ってない。おれはウソ(偽)はついてない」。なるほどたしかに偽ではないなら、真だろうけど、なんだかイヤなお父さんだ(←これが野矢先生のオチです。なお、文章を短くするために文意を変更しない範囲で文言等をある程度、変更しました。正確に知りたい方はぜひとも原文をご参照ください)。

この話を読んで、僕は初めて理解できたような気になりました【気がするだけかもおれKoiti】。

この本は他にも面白い話がいっぱい入っているので、論理学に興味のある方にはお勧めします。と言いつつ、僕自身は結局、2章までしか読みませんでした【薦めるだけかよおれKoiti】

論理学 野矢茂樹
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