報道ステーションの「財政破綻」報道についての感想

僕は古館氏のことは好きです。アナウンサーとして面白いし、昔はF1の放送でよくその声を聞いていて今でもファンです。報道ステーションもあまり嫌いではなく、たまに見ています。

しかし、今日の報道ステーションの報道はあまりいただけません。「ハイパーインフレ」などと視聴者を煽っていましたが、そんなことにならないために動学マクロ理論ではすでにインフレーションターゲットという解決方法を用意しています。

そもそもインフレーションターゲットは政府が国民の意志決定後に後出しで政策を変えてしまうという弊害(時間非整合の問題という)を解決するためのものですが、現在の日本ではインフレーションターゲットはデフレ対策にも効果があるので、日銀が採用を検討すれば良いと思います。

全般的な感想としてはすでにきちんとオーソライズされた解決方法があるのにそれらについては何も情報を与えず視聴者の危機感を無用に煽るのはよくないと感じました。

(補足)また、財政赤字を解消するには増税を急ぐよりも景気回復により税収が増えることが国民にとってより痛みの少ない方法だと思います。New Keynesianの金融分析(先日紹介したIS-MP分析などの基礎となる理論)では、柔軟価格における均衡産出と粘着価格における均衡産出の差が産出ギャップですから、インフレーションターゲット採用によりその差が小さくなり、景気が上昇する可能性が高いのではないかと個人的には思います。ただし、これは実際に産出ギャップがどの程度になっているかをきちんと推計しないと明確にはいえないので、補足にとどめておきます。

(参考)New Keynesianの金融分析モデル(Galiによるサーベイ)
http://econ.ucsc.edu/~walshc/271/w8767.pdf