神戸市東灘区のある公園での光景

「お、思ったよりいっぱい集まっとるやんか。Eさん、お久しぶりです。お元気そうで何よりです。え?10年経ったのに未だに一人身で来るなって?久しぶりに会うた(おうた)のにいきなりきついこと言うなぁ。すんませんねぇ、甲斐性なくて。なんや?ボランティア事務局長やったHさんか。うわ。酒臭。なに?11時から酒飲んでる?もうボランティアじゃのうて、ただの酔っ払いやな。近くに来んな。Tさん、まだ町役場でお役人なん?そうか、ええな堅い職業は。え?俺?最近、フラフラしてんねん。まあ、人生いろいろあるけど別にエエやんか。Nちゃんや、もしかして子供生まれたん?あたしに似てエエ男やろって?おい、みんなぁ、ここに親バカがおるでぇぇぇ。NMのおっちゃんや、なんや懐かしいジャンパー着てるなぁ。10年前はずっとこのジャンパーやったもんなぁ。あん時はみんな着の身着のままやったからなぁ。なに?この10年で1回しか洗ってない?こら!おっさん、近寄んなや!それと酔っ払い、酒臭い息を吹きかけんな。ちょいまち、さっき走ってた子ってもしかしてAちゃん?大きなったなぁ。最初に避難所で会った時は赤ちゃんやったのに。こら、酒臭いちゅーねん。ホンマに10年経ったんやなぁ。なに?餅つきやってるから餅つけって?そろそろ元ボランティアはお客様扱いとかいう特別待遇はないんかいな?ない?しゃーないなぁ、杵よこせ。明日は筋肉痛やろうなぁ・・・」

誰にとっても長くて苦しかった10年が終わりを告げようとしている。そして、明日の朝早く、僕が寝ている間に次の長くて苦しい10年が幕を開ける。