いつもの気軽なマイナー小ネタblogに戻りたいんですけど、量的緩和解除にまつわる話題がなかなか途切れてくれないので、困っています。
で、今日は日銀の水野審議委員が「政策金利の糊しろ」が必要だと述べたという話題について。
金融市場では、再び「デフレ」に戻らない「インフレ率の糊しろ」の議論が盛んであるが、将来の景気減速局面で機動的に対応できるマクロ経済政策として金融政策を位置付けるのであれば、「政策金利の糊しろ」は不可欠です。
http://www.boj.or.jp/press/05/ko0603c_f.htm
・・・正直に言いますね。昨日、Bewaadさんのblogでこの話題を取り上げてあったんですが、水野審議委員が何を言っておられるのかさっぱり理解できませんでした。やっと理解できたのは本石町日記さんの解説でした_| ̄|○
要は水野審議委員がおっしゃっていることは
ということらしいです・・・水野審議委員の超思考についていけてませんでした。
さて、現代マクロ経済学で金融政策を考えるときの基本となる経済モデル(New IS-LMといいます)は以下の二つの式(上の式をNew Keynesian IS曲線、下の式をNew Keynesian Phillips曲線と呼ぶ)で表されます。
ここでは産出ギャップ、はインフレ率、は名目金利、とは誤差項、それ以外は係数です[ただし、これらの値は均衡からの乖離率を表します]。ここで重要なは景気を表す値で、正ならば景気がよく、負になれば景気が悪いことを示します。
さて、現在の期待インフレ率がほぼゼロ*1だというの現状を加えてIS曲線を書き直して見ましょう。
水野審議委員の考えておられるようにを上昇させると、の前にマイナスがついていますので、がマイナスに振れます。
明らかに不景気に突入です。
本当にありがとうございました。
*1:インフレ率は簡単には変化しない[慣性と呼ばれる]性質があることが知られています。現在のインフレ率がコア物価指数で前年同月比0.5%だとすると当面はその近辺で推移すると考えられます。[参考文献] Fuhrer, J.C., and G. Moore, (1995), "Inflation Persistence", Quarterly Journal of Economics 110, pp. 127-159.