ハリ・セルダンになりたくて 第1部 (5)

不愉快な2006年

2005年の間、僕はいろいろな研究会や学会に出て、自分の研究内容について話し続けた。で、聞いた人の反応はどうだったかって?

不評だった。

ある時、一人の経済学者は親切に僕にこうアドバイスしてくれた。「経済の予測は当たらない。止めた方がいい。」また別の時にはさる高名な経済学者は僕にこう言った。「2006年になると君は自分の間違いに気がついて恥ずかしく思うよ。」

そうかもしれない。

僕の研究というのはまだまだ未完成なもので、実際にどの程度まで有用なのかは十分には検証されているとは言いがたい。それに研究に間違いはつきものだ。でも、間違っていると分かれば、僕は不愉快に感じると思う。

それでは僕の予測が当たっていれば、僕は愉快だろうか?

愉快なはずがない。僕は6年ほどサラリーマンを経験してから研究の世界に戻ってきた変人だ。不況が企業だけではなく、働く人たちを苦しめることを知っているつもりだ。

僕の予測が間違っていると分かれば、自己批判をして自分がどこを間違えたのかを検証しなければならない。僕の予測が正しければ、多くの人達が苦労するのを見なければならない。

どちらに転んでも不愉快な2006年が今、始まろうとしている。