金融政策の最適性に関する適切なパースペクティブは何か?

コロンビア大学Woodfordによって1999年頃から提唱されている金融政策における"Timeless Perspective"に関してはここ6年ほど、「是か非か」をめぐって議論された。以下の論文はその論争の当事者の一人であるMcCallumによる短いサーベイ

矢野も少し勉強したことがあるが、"Timeless Perspective"に関しては数え切れないほどの論文が出ていて複雑なのだが、さすがMcCallum、短い中で明確で分かりやすいサーベイをしてくれている。
http://www.imes.boj.or.jp/japanese/jdps/2005/yoyaku/05-J-12.html

(補足:"Timeless Perspective"問題とは?)
New KeynesianのNew Phillips curveを制約条件に中央銀行の損失関数を最小化する最適化問題を解くと(1)期間tから期間t+1で最適な1階条件と(2)期間0において最適な1階条件の二つが出てくる。

そこで中央銀行は現時点では(2)を用い、明日は(1)を用いるかというと、実は明日になってしまうと(2)を使うインセンティブが生まれてしまう。つまりここには非整合の問題が起こる。

そこでWoodfordは「期間0のことは忘れて(1)だけ使えばいいじゃん」と提唱。この考え方を"Timeless Perspective"という。ここ6年ほど、その"Timeless Perspective"をめぐって論争が続いてきた(教科書としてはWalsh, "Monetary Theory and Policy (2nd ed.)"のchapter 11が詳しい)。

・・・という理解でいいと思います。