「Dynare + octave」でMCMC推定は可能

以前、「Dynare + octave」の組み合わせではMCMC推定ができない、と言った趣旨のことを述べましたが、データ(実際のマクロ経済データ)をMatlabのmatファイル形式で保存するとMCMC推定が可能なことが分かりました(間違ったことを書いて申し訳ありませんでした)。

現在、「DynareでMCMC推定」マニュアル作成の準備を始めているのですが、その作業の中で、Matlabのマニュアルを見直していて、自分の間違いに気がつきました。

Christiano, Eichenbaum, and Evans (2005)モデルを少し簡略化したモデル(粘着賃金を除いたもの)を、日本のマクロ経済データ(1980年から1998年)に基づいて「Dynare + octave」を使って推定し、「Dynare + Matlab」と同じ結果が得られることを確認しました(正確にはモンテカルロ法なので、結果が完全に一致する訳ではありませんが)。環境はWindows Vista上でoctaveを動かす場合とUbuntu 8.10上でoctaveを動かす場合の二通りで確認しました。

DynareによるDSGE分析の基本的部分は「Dynare + octave」というフリーソフト自由なソフトウェア)だけで可能になったということは非常に意義のあることだと思います。

論文を書く場合には、「Dynare + Matlab」の組み合わせを使うべきだと思いますが、学生の演習用などには「Dynare + octave」という選択も考えられるのではないか思います。